第05回 小池 開 氏
abstract
流れの中を物体が動くとき,流れは運動物体の影響を受け,逆に運動物体も流れの影響を受けます. このような状況を数学的に定式化すると,流体の方程式(例えば Navier–Stokes方程式)と物体の運動方程式(Newtonの運動方程式)という, 2つの異なる種類の方程式を連立して解く必要が生じます.このことから,流体方程式だけを考えた場合とは違った現象が生じたり, それを調べるための新手法が必要となったりします.そのため,この種の問題(流体・構造連成問題と呼ばれます)は,興味深い数学の研究対象となっています.
本講演では私が最近取り組んでいる,1次元圧縮性粘性流体中を運動する質点の長時間挙動に関する研究を紹介します. これまでの研究によって,Green関数の各点評価の方法という古典的な手法を応用することで,質点の長時間挙動がかなり詳しく調べられることが分かってきています. そこで,まずこの問題の背景を説明し,それから Green関数の各点評価の方法やその運動質点を伴う場合への応用について,ポイントを絞って説明します.
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