第08回 足立 真訓
abstract
レビ平坦多様体とは,複素多様体による実余次元1葉層構造を備える多様体のことである. レビ平坦多様体上の関数論は,葉方向に着目すれば,複素多様体上と似た振る舞いが期待できる.一方,葉の横断方向に着目すれば,葉層構造の力学系的性質が強く反映するとも期待される. この両義性を示す現象に,レビ平坦多様体の小平型埋め込み写像の可微分性の問題がある. いわゆる小平の埋め込み定理は,レビ平坦多様体に対して一般化される(大沢・Sibony,2000) が,その埋め込み写像は一般には,横断方向に無限階可微分にはならない(足立,2014). この講演では,2019年1月の本談話会での講演内容により踏み込む形で, レビ平坦多様体の小平型埋め込み写像を得るために 必要となる接コーシー・リーマン作用素の横断ソボレフ評価について論じ, 横断ソボレフ評価におけるダンジェロ1形式の役割を説明する.
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