* 講演者 : 三宅 庸仁 氏 (東京大学)

  • 題目 : 多重調和熱方程式の初期値問題の解の符号に対する初期値の減衰速度の影響について
  • 日時 : 2022年 11月 21日 (Mon) 15:00 〜, 16:30 〜 17:30
  • 場所 : 数学科セミナー室(4号館3階)
  • 「解析学とその周辺@野田」

abstract

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1. (基礎編) タイトル:「高階楕円型・放物型方程式の解の性質について」

アブストラクト: 本講演では, 最も単純な高階楕円型作用素である多重調和作用素を主要項として 持つ高階楕円型・放物型方程式の解の性質について述べる. ラプラス方程式や熱方程式に代表される二階楕円型・放物型方程式については, 比較原理等の強力な解析手法の整備により, これまで数多くの精密な研究成果が 得られている. 一方で高階楕円型・放物型方程式においては, 比較原理を代表と する数多くの手法が一般に適用できないことを一因として, 解の性質を詳しく解 析することは困難である.

本講演では, 特に解の符号に関連する性質に着目し, 二階の場合には成立するが 高階では示されていない, もしくは成立しない性質について述べる. 具体的に は, 固有値問題, 基本解, 及び正値性保存則について, 二階の場合と高階の場合 の相違点について詳述する.

2. 数学科談話会

アブストラクト: 本講演では, 多重調和作用素を主要項として持つ高階放物型方程式である多重調 和熱方程式の解の符号について考察する. 二階放物型方程式に対する初期値問題では, 「非負な初期値に対する解は必ず時 空間大域的に非負となる」という正値性保存則が広く成立することが知られてい る. 一方で高階の場合は, 最も単純な重調和熱方程式に対する初期値問題におい てさえ, 正値性保存則は一般に成立しない. しかし, 初期値の空間遠方での減衰 速度が十分遅い場合には, 同問題に対する解は十分時間が経ったのちに正値関数 となることが期待される.

本講演の目的は, 多重調和熱方程式の解が時間終局的かつ空間大域的に正値関数 となるか否かを分ける, 初期値の減衰速度の閾値の存在を示すことである. さら に, この結果の応用として, 冪乗型非線形項をもつ半線形多重調和熱方程式の初 期値問題に対して同様の性質を持つ解を構成する. [<6>]


連絡先:牛島 健夫 ushijima_takeo@ma.noda.tus.ac.jp

  • 世話人:
    • 立川 篤 (東京理科大学理工学部数学科)
    • 山崎 多恵子 (東京理科大学理工学部数学科)
    • 牛島 健夫 (東京理科大学理工学部数学科)
    • 相木 雅次 (東京理科大学理工学部数学科)
    • 側島 基宏 (東京理科大学理工学部数学科)
  • analsemi/2022/b12.txt
  • 最終更新: 2022/11/24 09:53
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