• 講演者:松澤 寛氏(沼津工業高等専門学校)
    • 題目 : 多安定型非線形項をもつ反応拡散方程式の自由境界問題とその解の漸近的形状について
    • 日時 : 2019 年 11月 1日(金)16:30~18:30
    • 場所 : 野田キャンパス 4号館3階 数学科セミナー室
    • 「解析学とその周辺@野田」

本セミナーは,東京理科大学 研究推進機構 総合研究院 「数理モデリングと数学解析研究部門」との共催です.

abstract

概要: 本講演では,外来種侵入問題のモデルとしてDu-Lin(2010)により提唱された次の 形の反応拡散方程式の自由境界問題を考える:$u_t=u_{xx}+f(u)$, $t>0$, $0<x<h(t)$  $h(t)$ は時間に依存する境界で $u(t,x)$ とともに未知関数である.$h(t)$ は $h'(t)=-\mu u_x(t,h(t))$ というStefan条件によって決定される.この問題は $u(t,x)$ と $h(t)$ がともに未知関数であり,その両方を同時に求める問題である。  最近,反応項 $f$ が常微分方程式の意味で安定な正の平衡点を2つもつ positive bistable型とよばれる場合,Kawai-Yamada(2016)は広義一様収束 の意味で解の漸近挙動の分類を行い, 生物種の侵入の成功を表すspreadingについて, それぞれの安定平衡点に広義一 様収束する2種類のspreading(small spreading と bigspreading)が 起こることを示した.  本講演の目的は上で述べた2種類のspreadingに対応する解について, $t\to\infty$ において $u(t,x)$ の定義域 $[0, h(t)]$ 全体での漸近的形状を 調べることである.  特に,ある条件のもとで,特に0と小さい正の安定平衡点を結ぶsemi-waveと, 2つの正の安定平衡点を結ぶ進行波を積み重ねたpropagating terraceとよばれ る形状をもつ解に漸近することを紹介する。  証明は比較関数の構成と収束の議論からなるが,その流れについても紹介したい。  本講演は兼子裕大氏(日本女子大学),山田義雄教授(早稲田大学)との共同研 究に基づく.

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  • 最終更新: 2021/02/11 09:56
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