本セミナーは、東京理科大学研究推進機構総合研究院「先端的代数学融合研究部門」との共催です。
今世紀初頭に導入された団代数 (cluster algebra) は、帰納的に定義される団変数と呼ばれるローラン多項式で生成される可換環であり、与えられた箙(quiver) から新しい箙を構成する変異(mutation)と呼ばれる組み合わせ論的操作を用いて定められる。一方、環の加群圏の同値を扱う森田理論の拡張である傾理論(tilting theory)は、環の導来圏の同値を扱うものであり、箙の表現に対する鏡映関手の理論的基礎付けを与えるものである。傾理論では準傾対象(silting object)と呼ばれる対象が重要であり、与えられた準傾対象から新しい準傾対象を構成する変異(mutation)と呼ばれる圏論的操作が存在する。団代数の圏化(categorification)は、傾理論を用いて団代数を調べるものであり、異なる文脈に現れた変異の間の直接的な関係を説明する。本講演では以上の事柄を例を挙げつつ説明する。
[<6>]