Hilbert 空間上の極大単調作用素に支配される発展方程式の解について,ある時刻において右微分可能であ ることと作用素の定義域に含まれることは同値となる.方程式が摂動項を含む場合にもこの事実が成立す れば,解の高階微分に対する評価を抽象論の枠組みで導出することが期待できる.しかし既存の議論では 作用素の極大単調性が巧妙に用いられる為,単調な摂動項であってもこれを直接適用することは出来ない. 本講演では,この困難を解消する為の摂動項に対する十分条件について考察する.また時間の許す限り,主 結果の非圧縮Navier-Stokes 方程式,複素Ginzburg-Landau 方程式への応用についても紹介したい.
なお,当日談話会に先立って以下のような勉強会を行います.
解析学勉強会@野田
日 時:2019 年1 月21 日(月)15:20~16:20
場 所:東京理科大学野田キャンパス4 号館3 階 数学科セミナー室
講演者:内田俊氏(早稲田大学)
題 目:極大単調作用素を主要項とする非線型発展方程式に対する解の右微分可能性について
概 要:
Hilbert 空間上の非線型縮小半群と非線型極大単調作用素がHille-Yosida の定理と同様な関係で結びつくこ
とはKomura (1967) により最初に指摘された.これを皮切りに,極大単調作用素,特に汎関数微分の一般
化である劣微分作用素を主要項とする非線型発展方程式理論の構築,あるいはこれを応用した非線型偏微
分方程式の解析が現在に至るまで広く行われている.本講演ではまず極大単調作用素,特に劣微分作用素
の基本的性質や具体例を紹介し,これらに支配される抽象発展方程式に対する解の右微分可能性の特徴付
けについて述べる.
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