素数と結び目、代数体と3次元多様体の類似に基づく「数論的位相幾何学」の研究において、 「代数体の素イデアル全体の、3次元多様体における類似物は何か?」という問題は根本的である。 講演者は新甫洋史氏との共著[NiiboUeki2018]においてvery admissible linkという候補を構成し、 局所理論を束ねて大域理論を記述するイデール的類体論を3次元多様体上で実現した。
三原朋樹氏は、そこにコホモロジー的な解釈を与えた。またray類群の議論に適合するように対象を改良し、 stably generic linkなる候補を提案した[Mihara2018]。
一方でC.T.McMullen氏は、3次元多様体上の位相混合な擬Anosov流に対し、 長さで順序付けられた閉軌道族が、B.Mazur氏の意味[Mazur2012]で Chebotarev密度定理の類似を満たすことを示していた[McMullen2012]。
本講演では、これらの可算無限絡み目の条件を比較し、McMullen氏の意味でChebotarevならば 三原氏の意味でstably genericであることを示す。また、そこから開ける展望について解説する。
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