代数/複素幾何で重要となるコホモロジーの消滅定理やその一般化である単射性定理 について話します. 議論の対象となるコホモロジーは代数的な対象ではありますが, 適切な\(L^2\)-空間を準備することで,多様体上の微分方程式(dbar-方程式)で記述でき ます. 本講演では,消滅/単射性定理の観点から,この微分方程式の可解性を議論します. 微分方程式に帰着することで,調和積分論/直線束の曲率などの解析/微分幾何 の道具が応用できます. Kodairaの消滅定理からはじめ,KollárやEnokiやFujinoの 単射性定理について話します. さらに,最近得られた特異計量/乗数イデアル層を用いた 単射性定理の一般化を与えます. 時間が許せば,応用として,新しいNadel型(Kawamata-Viehweg型)のコホモロジー消滅定理を証明します.
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