アブストラクト: 1997年にJordan, Kinderlehrer, Ottoらによって, 拡散方程式に対して, Wasserstein距離を用いた新たな変分的定式化がなされた. この先駆的結果を契機に, Wasserstein距離の偏微分方程式への応用が盛んに研究され, この変分的定式化は, Ambrosio, Gigli, Savaréらによって, 確率測度空間での勾配流として体系的に確立された. 本講演では, Euclid空間やRiemann多様体上での勾配流の概念を模倣しながら, 確率測度空間での勾配流を形式的に導き, 偏微分方程式への応用を明らかにした後で, Wasserstein距離の定義を与える. さらに, 講演者の主要な研究である退化拡散項を持つ完全放物型Keller-Segel系への応用を述べる.
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