筧知之氏は、ある種のコンパクト対称空間上のシュレディンガー方程式の基本解の表示を与え、その台について考察された。 特に時間が有理数の場合と、無理数の場合で解の台がかなり異なることを示された。
ユークリッド空間等の場合には、平滑化効果と関連して、解の特異性について、多くの研究が知られているが、 コンパクトな多様体の場合、ほとんど知られていないのでこれは興味ぶかい結果である。
講演では、関数解析や超局所解析を用いることで筧先生の結果の類似がZoll多様体 (すべての測地線がある最小周期を持つような多様体)の場合にも、自然に成立することが分かる。 特に、初期条件がディラック関数であるような解に対して任意時間での解の波面集合が求められることをお話しする。
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