特異な項をもつエネルギー汎関数の最小化関数の性質を直接調べるには, それが大局的に Euler-Lagrange 方程式をみたさない, という点で, 特別なテクニックが必要になります. これに対して, 滑らかな汎関数によって近似されたエネルギー汎関数の最小化関数は偏微分方程式の解としての性質を有するという点で扱いが容易になります. 本講演では, 具体的に Alt-Caffarelli 汎関数について, その汎関数近似を用いた手法による, 定常解のリプシッツ正則性, およびエネルギー勾配流の構成の2つの話題を解説いたします.
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