滑らかな多様体 $M$ 上の接分布 $D$ とその上のリーマン計量 $g$ が与えられているとき, 組 \((M, D, g)\) を一般にサブリーマン多様体と呼びます. 特に, \((M,D)\) が接触多様体のとき \((M, D, g)\) をサブリーマン接触多様体といいます. これはサブリーマン多様体の中でも非自明でかつ最も典型的なものです.
二つのサブリーマン多様体の間に, 構造 \((D,g)\) を不変にするような微分同相写像 \(\phi\) が存在するとき, その二つは同型であるといいます. 特に二つのサブリーマン多様体 が同じものであるとき,このような \(\phi\) を自己同型写像と呼び, これら全体のなす群をサブリーマン多様体の自己同型群と呼びます.
リーマン多様体の自己同型群が有限次元のリー群をなすことは良く知られていますが, サブリーマン多様体の自己同型群については, これまでまだあまり研究されていません. 本講演では, サブリーマン接触多様体の自己同型群について考察し, 得られた結果を報告します.
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