Helfrich 変分問題は, 赤血球の形態変換の数理モデルとして, 1970 年代に Helfrich らによって提唱されたものである. それは, 閉曲面に対するある制限つき変分問題の臨界点として, 赤血球の形が決定されるというものである. この変分問題の解として, 軸対称性を持つものは古くから知られており, 球面に近いものはその安定性・不安定性の解析もなされている. 本講演では, 軸対称性を持たない解の存在について報告する. これらの解の存在は, 群同変性分岐理論の equivariant branching lemma から 示唆されるが, ここでは, equivariant branching lemma を用いない方法を紹介する.
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