自然数 $n$ の約数の調和平均が整数であるとき, $n$ を調和数と呼ぶ. 完全数は調和数であることが簡単に示される. $1$ 以外の調和数は偶数であると予想されており, この予想は「奇数の完全数は存在しないだろう」という古来からの予想を含む. 完全数や調和数の研究は, 現在のところ初等的な手法の域を出ないのであるが, 39個しか知られていない完全数に対して調和数は数千個が知られているのに, なお奇数のものが存在しないことは不思議であり, 偶数のものについても興味深い性質がありそうである. 講演では, 調和数について知られていたこと, 最近の研究成果, 残された問題を紹介する. [<6>]